ドストエフスキー【悪霊】を読みました。
ドストエフスキー【悪霊】を読みました。

罪と罰に続く

読書感想文のテーマに選ばれそうな有名な本を読む


シリーズです。前回読んだ「罪と罰」に比べると

結論:格段に難解です。


難解ですが(今でも私は良く分かってないと思うけれど)「罪と罰」より面白いです。特に半分からシャートフが裏切り者として危険にさらされるあたりまではかなり面白い。オトナ向けです。なんですが…その後がけっこうやっつけに失速している感があって主人公スタヴローギンはなぜそこまで追いつめられたのか、という描写が前半のねちっこさから考えると冬場に食うキュウリとワカメの酢の物ぐらいこざっぱりしています。


くぅるなニヒルガイ、ニコライ(スタヴローギン)はすべてにおいて不感症という非凡なる精神を持った結果、お調子者のピョートルに反政府運動のシンボルに担ぎ上げられそうになって、俺ってそんなんじゃないじゃん?いや、言ったっけ?どっちにしても誰もわかってねーよな!とこの世にザ・グッバイ!愛あるところに神おわすと死に際の無神論者ステパン先生に神リターンズ。
中庸とは善悪構わず非凡なる予言者を黙殺できる強者だったのでした。


登場人物の名前やら関係性やらは調べると出ますが、これは結論から言ってという配置です。
「罪と罰」は主人公が最初に犯罪(殺人)を犯して1,000ページにわたり逃げ回り心が変化していくという予定調和なのですが【悪霊】は逆で前半は殆ど謎めいた表現のままで、後半にはいって初めて登場人物の相関が明らかになってきます。出だし1/4まではキツイんですが、後半からはぐいぐい読めます。サスペン’に似た謎解き描写が楽しい。

ツメが随分さっぱりしている、と書いたのですが私が読んだのは新潮社:江川卓(たく。元巨人じゃないよ)。これによると後半ちょっとすぎに入るスタヴローギンの告白ーチホンの元にてーという章が物語の重要な岐路であるにも関わらず、スタヴローギンによる少女の陵辱表現が告白されているシーンを編集部が嫌い出版されなかった→1章抜けたことにより結末にむけて修正がなされたらしく、私のような入門者には描写がわかりづらくなっていると思う。新潮社:江川卓の本ではこの章は別途巻末に掲載されており、これを読んだ印象ではただ章を差し込むだけではなく、スタヴローギンの揺れる心情やピョートルとの縁切りについてももっと描かれたのではないか?と想像します。

昔読んだギャグ4コマで、新人刑事にベテラン刑事が朝に「刑事ってもんはな、何でも疑ってかかるんだ!」と教えた結果、夕方頃には新米刑事「俺って何で生きてるんでしょう?」と言い出すマンガに大笑いした覚えがあります。善意的な盲信は強い依存がありますから、偶像でも何でも対象さえあれば死ぬ理由はないのですが、悪意的な冷淡は孤独なのだと思います。思想が180度違うだけで、基幹のつながりはむしろ切れていなかったシャートフ&キリーロフ、子どもが生まれて幸福を得たシャートフをかばおうとするヴィルギンスキー、20年告白のタイミングを逃して互いにニヒルに過ごさざるを得なかったプラトニックなワルワーラ夫人&ステパン先生は印象的でした。ほどほどの依存や偏見とほどほどの孤独。中庸な私は大変今日も幸福です。

しかし、ロシア人は朝からビフテキとかカツレツを食べるのか‥‥。
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by jaguarmen_99 | 2010-02-17 22:50 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(2)
Commented by bluegene at 2010-02-18 00:03 x
この小説のスタヴローギンて触媒であって主人公じゃないと思うんですよ。彼はからっぽな人間として描かれているので、スタヴローギンを中心に読みとこうとすると理解しにくいです。群像劇的な色彩が強いですが、ステパンとピョートルの親子を主人公とするのが妥当かな、と。

>ロシア人は朝からビフテキとかカツレツを食べるのか‥‥。
貴族やブルジョワは、そもそも朝が遅いらしいです。
Commented by jaguarmen_99 at 2010-02-19 18:58
■bluegeneさま
うかつ!今度は豆知識を入れてからにするか、とウイキを先に見てから読んだのがいけなかった。ニコライは存在感が薄いのに主人公だよなぁ?という観念から外れなかったせいで斜めに見てしまったかもしれません。
> そもそも朝が遅いらしい
あれって登場人物殆ど貴族なんですよね?元々ブルジョワじゃねーか、と内心考えるあたりが私ったら檄文読んで決起に参加するタイプ。
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