漫画
【そばもん】を読みました。
主人公:矢代稜(やしろりょう)は蕎麦打ちの名人とうたわれた祖父からの技術を叩き込まれ、流れの蕎麦打ち職人として全国を渡り歩いている。作者は『どんぐりの家』を描いた山本おさむ。
結論としてはそんなエピにからませた蕎麦の蘊蓄(うんちく)ということになりますが、しかし知っているようで知らない蕎麦の世界。私は蕎麦っ食いなので読めば食べたくなること請け合い。
しかしどうも、作者の山本おさむ作品はどこか洗練されない野暮ったさ。登場人物の服のセンスとか、何とも言えないこの野暮ったさ、尾瀬あきらに似てるよな、と思っていたら何と親類。義兄弟なのですなぁ。ヤボったワールドの同じ延長線上には描く「パンツがダサい」万乗大智なども?
この世界観を反映したのか、ヒロインである「蕎麦ならウワバミだぜぇ」というエリカちゃん。立場も主人公の兄の再婚相手の連れ子、という微妙〜〜〜な立場(そして主人公にまとわりついている)。上記は空腹ゆえに本懐を忘れてカツカレーに浮気しそう!というところ。「一緒に夢をみるかい?」などジョークも含めいちいち言うことがオッサンくさいったらありゃしない。「そろそろワタクシは
ドロンいたします」っていうのを思いだすなぁ。しかし山本おさむワールドでは完結している。手相まで描くか?フツー(参考:止めないで!と叫ぶエリカ嬢)。
ともあれさすがの蕎麦蘊蓄漫画でございまして、市販の乾麺は1.5倍のゆで時間、など、蕎麦好きなら頷かされるトリビアも。これ、やってみたらちょっとノビた(腰が無くなる)感じがあるけど、本当にこのほうがのどごしがキレイで旨かった。私はやっぱり蕎麦はのどごしだなぁ、と考えるほうなので目からウロコでした。さらに水切りの方法。市販の乾麺もこれでかなり変わります。このために平ザル買いました。
ところで『どんぐりの家』は、聴覚障害者のための組織やとりまく環境を描いた社会漫画で、必然的に彼らは同じ感情を持つ人間ですが話すというコミュニケーションができません。何か極まった時言葉にならない言葉を発することは容易に想像がつくと思います。
すると作中「あっあっああー!!!」と言った表現がこの独特の書き文字で表現される。この「おさむ体」(と呼んでいる)にほぼトラウマ的な気分があって、今回は平和な蕎麦の蘊蓄マンガなんだけど見かけるたびに『どんぐりの家』を思いだしてギクリとしてしまう。
余談ですが私はたまたま
この4月30日の回を観てしまい、笑っていいのか、と一瞬”考えあぐねた”が最終的にあまりのシュールさにおかげさまで大笑いいたしました(映像をごらんいただけます)。「おさむ体」を見てギクリとするのは、その”考えあぐねた”ほうのスキマなのだろうな。