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【442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍】を観て来ました。
【442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍】を観て来ました。
知人が442の刺繍の入った帽子をかぶっていて、そんな経緯から442部隊の事を知りました。この映画はその442部隊のドキュメンタリー。偶然にも映画を観られると知って観て来ました。

<結論>


歴史もの好きな方にはおすすめします。

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これは観ていて辛(つら)いですよう。007.gif
442部隊についてかいつまんで申し上げますと、真珠湾攻撃から日本とアメリカが対立。第二次世界大戦が加速していくなか、アメリカ政府は国内にいた日系移民たちを聞こえのいい理由をつけて強制収容。さらにアメリカ軍の悩みの種だった日系移民の2世(劇中では Japanese American と表される)軍人で編成部隊を組んで、まとめてヨーロッパ戦線に放り出してしまいます。これが442部隊。国のエゴに翻弄された日系人たちの悲しきドキュメンタリーを生存者が語ります。※ 死体がばんばん出てきますのでご注意。

むろん彼らも自分たちが使い捨てだと理解はしていますが、ある日突然人権を奪われたに等しいわけで彼らは自らの権利を再び手にするために戦わねばなりません。猛烈な死者(1万人弱)と出しながらヨーロッパの同盟国をナチスの迫害から解放するという実質の立役者となりますが、箝口令がしかれ、アメリカの歴史上最も多くの勲章を得たというこの部隊に日の目が当たることはありませんでした。

大戦は終わり、大きな犠牲を払いつつ功績を得た442部隊は同年就任したばかりのトルーマン大統領に迎え入れられ「君たちは偏見にも打ち勝った」とか演説ぶっこかれてしまうシーンは切ない。大統領が国の象徴だとするなら彼らの人権を奪い偏見を助長したのは前任のルーズベルトさんだけのせいだよね、と言えるものなのかなぁ。


442部隊の面々は、ヘタレと呼ばれれば自分の家族に迷惑がかかると考えていました。彼らは家族の誇りを重く受け止めていたのです。2世とはいえ親は日本語を話す移民です。彼らのこれはとても東洋的な感覚だと思います。中国にも通ずるところがあるような。そして賛否両論あれど、戦地に赴いた者はたいていは20歳そこそこの若者が中心です。映画では彼らのメンタルはそうした東洋的な感覚に支えられているという視点で描かれています。また、政治的な事は理解がいかなくとも、当時の彼らには野心と勇気が溢れていたことも、命をかける背中を押したことでしょう。

あくまで私見ですが。大きな絶望や不幸を感じると人は2通りにわかれて、やはり受けた傷をもって世に報復したいと考える者と、小さな事に幸福を見出し与える事に転じる者に分かれると思うのです。これは絶望や不幸の大きさではなく感受性の問題だと私は思っています。

彼らは口を揃えて子や孫にあまり戦争の話を語らなかった事、そして「体験した者にしか分からないことだから」と言います。「感触」という言葉がひどく耳に残りました。「人を殺した感触を忘れるわけがないでしょう?」と。「私は英雄なんかじゃないんだ!」と嗚咽するサカト氏。以前NHKのドキュメンタリー番組「私の父は日本人を殺した」で沖縄戦から帰れた元アメリカ兵(もう80歳ぐらいの)たちが初めて人に話す、と言いながら「私はひどいことをしたんだ・・・」と泣き崩れるシーンを観たことを思い出しました。
私も沖縄戦の体験者から話をぽつぽつ聞きますが、彼らは総じて、ただ静かに笑うんだよな・・・と思います。実際に戦場にあった方って基本語らずじまいが多いと思うんですが、恐らく呼び起こしたくない気持ちというのは、恐怖よりも恐らくご本人の「負い目」がその時代にあるんだろうと想像します。あの時自分は人ならずヒトだった、ということを許せていないのかも知れません。そして誰もあの人たちを楽にしてあげられないのです。

そうか、これは絶望の果てなんだ、と私は改めて感じました。絶望したから、後悔すら出来ないほどに何も残らなかったから、先を見るより他残っていないんじゃないか、と。

ただし、ご注意。そんな殊勝なこと考えているとエンディングで精神科医が出て来て彼らを長年診てきたが、彼らは他の重篤なPTSDを患う兵士たとちは一線を画しているネ!

「そう、彼らは未来だけを見つめて生きるのサ!」


とか言われて、うひぃーー!!思い切りアメリカン!台無し感すごいよ!!!

ところで、フランスの「バンザイ・ヒル」(※ バンザイ・クリフとは異なる)での記念式典、皆第二次大戦中の連合軍のコスプレして迎えたりとかコレ絶対日本では考えらんねーイベントの光景だと思いました。
by jaguarmen_99 | 2011-07-31 17:43 | 日々どーでも
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