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【王への道】を読みました。
歯医者に行って読みものが欲しかったので、【王への道】を読みました。
絵本だと思ったら結構字が小さくてもりだくさん。表紙の男性は主人公でも何でも無いし、話も日本のそれからすると少々とっちらかった印象もあったりで、日本人の私としては兄のシーンとか不要な描写が多い気がするんですが、そこはそれ。「ムトゥ踊るマハラジャ」って3時間以上有ったことを思い出せば何のその愛の園。雰囲気で読み取れ、ということはしないのでありましょう。平坦に話が進んだ雰囲気なのですが、この本は最後まで読むと巻末に「考えてみよう」という道徳的喚起がなされておりまして、これが話の内容から受ける印象とは裏腹に

やたらと重い!!!!


王への道 エレファントロックの伝説

上記、「なか見検索」ができるはずです。Tell it your way ! と書かれたページがありますので、気が向かれた方はごらんください。色々複雑かつ重いことを連綿と訊かれていますが、実際戦争描写のページは4ページぐらい。あれが作者の命題だったのか046.gif。全然子供向けに見えないけど、向こうの子供達は理解するんだろうか?!これですね、たぶんカーストという感覚が実感として沸かないことも感情移入しづらい要因だとは思います。後で考えるに結局そうした精神の閉鎖性が冒頭の戦争を起こすんだよ、ということが作者の意図なのかちら?と。

(あらすじ)

王様W(ワで始まる、以外は一見では覚えられない名前)は戦争に行きました。
Wは王妃に伝えます。戦争に勝ったら白、負けたら黒の旗を振る。黒だったら逃げろ、と。Wは戦争に勝ったので、部下に王妃に見える所まで行って白い旗を振るように命じました。
しかし部下は勝利に舞い上がって旗をふらず道草をして酒を飲んだくれてしまいます。
不安げに待つ王妃を思い出した部下は、黒い旗を振ってイタズラをしかけてやろうと思いたちます。しかし黒い旗を認めた王妃は絶望し、逃げずに崖から飛び降りて命を断ってしまいました。関係者一同続け、続けー!ぽぽぽぽーん!イタズラを試みた部下は大変な事をしてしまったと後悔し、これまた自分も死にました。王様はそれを聞いてショックを受け、やっぱり命を絶ちました。

城の老婆は危険を感じたため、赤ん坊だった王子アップワを人づてに預けます。この子は結局ある村の村長の家に引き取られましたが、人づてを介するうちに男の子の身分は分からなくなり、彼は普通に田舎の子として育てられ義父の牛の面倒をみたり畑を耕したりして暮らしていました。

時が過ぎアップワは頼もしい青年に成長し、老いた義父はアップワに働き手としてとどまって欲しかったので、自分の娘と結婚をさせようと試みます。アップワは姉に気がありましたが(物語の進行には無関係なんですが、本には載ってます)、姉は「牛飼いなんかとは嫌」といって取りつくシマもありません。アップワは逆に彼に少し気のあった妹シリマルエタナと結婚するはこびになりました。

結婚を機に少しの畑を得たアップワ。農作業の道具を揃えるために村を回りますが、彼はヨソモノのため村人が相手にしてくれません。アップワ自身は知らなくとも、彼よりずっとカースト(身分)の低い人たちが彼に難癖をつけます。意地悪にもめげず鋤を自分でこしらえて、次は牛を調達しようと牧場へ日参します。しかし、いくら頼んでも頷いてもらえません。牧場の嫁はアップワの礼節に心動かされ夫をたしなめるのですが、夫はこいつが王だとて俺は牛を分けてはやらぬ!と言い放つ勢いです。何となくフラグが立ちましたが、とりあえずここでアップワは消沈し、神に祈りました。

すると翌朝牛が繋いでありました。(神なのか、沸いたのか、牧場の嫁かはまったく不明)
とにかくこれで畑を耕せます。

その頃アップワの兄は先代を継いで故国の王となっていました。しかしイスラム系の嫁をもらっただか何だかで大臣たちに嫌われていました。大臣たちはイベントを装って王の暗殺をくわだてます。バナナの木から落ちた王(兄)は死んで魔物になりそこらで動くものを全部食べました。
しかし民には人気のある王だったので、今でも偲ばれています。(この文章も不要な気がするけど本にはあるよ。)

王がバナナ事故で急逝したため、王を探す能力のある神秘の象が次の王を探し旅を始めました。この象は次の王を見つけると、前足をたたんでおじぎをします。城の一行は象とともに王探しの旅に出ました。

その頃アップワは畑作業の合間にシリマルエタナの作った昼ごはんを食べて、彼女の膝枕でウトウトしていました。すると自分の農具に蜂が巣を作るという「王になる人がみるという夢」を見ました。シリマルエタナはこれを聞いて「あなたが王なら私は王妃ね!」キャッキャッ053.gif

すると太鼓を鳴らす集団とでかい象がやってきて、アップワの前で前足をたたむとおじぎをしました。まったく状況がつかめないアップワに象の侍従が出て来て言います。「あなたはこれから王になってください。」

アップワとシリマルエタナは王と王妃となり、国を善くおさめましたとさ。
とっぴんぱらりのぷう。






作者が沖縄在住の方、とのことですから敬意を表し、私めもきちんと感想をば。

買って読んでなくてごめんね、なんですが。



Tell it your way ! (私の感想)

1. そのヨソモノをおそれている時や優越感に自我を感じうるとき。
2. 他に方法もないので無力だと感じていると思う。
3. 畑仕事する彼しか知らなかったので、王様だったとはびっくりです。
4. 随分小さいころに村にきた。村長の手伝いをしていた。
5. 英雄と呼ぶものではないが、いわれの無い意地悪に耐え自身であることを放棄しなかったことは、多くの人間ができないことをなしとげた英雄であるといえる。

Think yourself ! (私の感想)
1. タイトルから想像もつかない内容だった
2. 白→勝利、獲得 黒→敗北、喪失 お守りとかお札とか祈りとか。
3. 差別感情は悲しいかな特別なものではないから。
4. 空手の記念碑があちこちにある。会が出資して建てるらしいが、祈りは決してこめられていない。先人の智慧に自分達の名を冠したいのだと思う。
5. 都合のよいものだけを求めるから。

Learn about peace ! (私の感想)
1. 信じる。人の心の差異からしか生まれていない。
2. 生まれた場所や血統というルーツによる。精神性の繋がりはばらつきが大きく共通意識を持ちづらいが、ルーツによる自我はくくりやすく、煽りやすい。求める際に比較対象を持つ傾向があり、結果自身のために排他的になる。
3. 差別をされてみると、人間の価値はそうした目に見える部分ではないと信じたい。が、差別感情は前述した自我の維持のために実際本能に近い部分で生じている様相もみえ、それを他者がコントロールすることが難しい。民族、ルーツといった物理的性質に基を置くマジョリティー側に、精神性や理論でしか身を立てられないマイノリティー側が反論しても論点が噛み合ないかとも思う。
また、現代の排他的側面にはマイノリティー側の畏敬が著しく欠けることも少なく無いと感じる。
4. 巻き込まれたら嫌だと思っているが、自分はやらなくともやりたがりさんがいるのが人間。群れになるとつける薬の無い生き物だと思う。
by jaguarmen_99 | 2011-08-23 11:37 | 世界遺産的マンガ&BOOKS
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