【きのう何食べた?8巻】を読みました。
前巻にあたる7巻で主人公:筧(かけい)君は、年末に自身の実家に恋人ケンジと一緒に顔を出すことになります。息子がゲイだと知ってもいまひとつその点においては口で言うほど歩み寄れない両親と筧。
ネタバレ、といえばそうなんですが。正直話は殆ど進まないのでたたみません。以下私情と私事を含めて話しますが、イヤ!という方は以下読まないでくださいね。
やはり辛抱たたったか、母が昨年末「自分でケンジを呼んでおいて」現実に寝込んでしまったので、今年はケンジにはご遠慮願いたいとのお達し。 遠回しにゴマをすりつつどう切り出したものかと迷う筧にケンジはまさかハルマゲドンの襲来かと…?!という内容です。
前巻で筧の実家にお邪魔して、不器用ながらも少し話をして、ケンジはこんな事が叶うとは思っていなかったと帰り道泣くのです。それをみそめた通行人の若者2人がキモイ!と陰口を叩く。
今回ケンジには来訪を控えてほしいという筧の実家からの打診は、あの家庭なりの精一杯なのでしょう。決して先を閉ざしたつもりはなく、今はもう少し考えさせてくれという気持ちなのだと思います。
私は親しい周辺にはカミングアウトしていますが、親にはしていません。 親だから分かるでしょう?と言う人もいますが、親と子の距離感は必ずしもドラマに出て来るような記号的なものではなく、こういうアドバイスをくれる人は基礎となる親子関係が上手く言っている人です。 が、外に出ざるを得なかった私は親子の距離感が微妙で、心理的負担を感じさせたくは無いという美しい愛情も湧く反面、自分をいったんは捨てた覚悟の奴らに干渉されたくないという気持ちも強い。成長と変化とをともにしていない関係には親子でも親しさは生まれない。
でもね、相方 を一度いっしょに実家に連れて行って。まぁ田舎から都会さ見てみてぇべ、みたいな設定で行ったんですが。マイペースな相方 はそれはそれはコレ知らないから食えねえみたいな田舎者を「演じる」までもなく素で他人にぶつけてくれてですね。 母に事後承諾で電話で礼を言うと、アレはおかしなヤツだとプチ不満をこぼされたあと、それでも母が「いまさら子供がふえたみたいですごく嬉しい」と言ったんです。
私は母の意図をそのとき真に受けていなかった。 でもその後の経緯を考えると気遣い半分、あとは本心だったんだろう。あれ一度きりしか言わないけれど。 今でも毎回 相方くん に電話かわってー♫と言う。
マンガのケンジとは違って、相方 は既にけっこう愛されているらしい。 昔は他の悲しいパターンを考えていたはずなのに、なんだかカミングアウトしないまま何となく上手くいっちゃってて、拒絶されるのが大前提ということをすっかり忘れていたや…。
何となく母は分かっているのだろう、と思っている。だから彼らの老後のこととか、(相方と)2人で話した考えは…と伝えている。 黙っていることよりも、普通に受け容れて呑み込むことは結構大変なことなのだと。親の気持ちは分からないけどオトナの気持ちは少し分かるのだ。愛がなくてはそれはできないってことだけが。
そういえば過去、お前は人の親でもないのに何がワカルんだ!みたいな罵られ方を全く知らない人にされたことが。私とて今、ひとを愛せているのかワカランよ。いつも不正解だと思っているけれど。決まった形なんで無いんでないかい?