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マンガ読んでます【あしたのジョー:てこの原理で勝利】
名作「あしたのジョー」を読んだ私。

主人公:矢吹丈はクロスカウンターという必殺のカウンターパンチを少年院での戦いの中から身につけます。

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すんません、私昔からこの辺りの理屈が良く分からんのです。どのへんがテコなの?そしてテコらしいんだけどジョーも敵のパンチが当たっちゃうんです、毎回。上からかぶせて自分はダメージ減だっていうならまだ分かるんですが、いつも我慢比べみたいな終わり方をする。さらに

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????(※文字化けではありません)


理屈は分からない、だが夢のような高利回り。釈然としない、と思ってたらあっ!そうでしょう?やっぱりそうだよね!?ちょこっとネズ×講みたいなニオイがしてたし。さすがは脚色の天才、梶×一騎だぜ。だがまあ、当時はいまみたいに情報が身近ではないから、物事の等身大っていうのは見えづらかったんです。そういうリアルとフィクションを織り交ぜてファンタジーを作るのが梶原×騎はすごく巧かった。そういう才が溢れるばかりに「空手バカ一代」も途中で作画が変わったり組織内に内紛を招いたりもするほどなのですが。とにかく私としては漫画家としての、ちばてつや御大の表現に感激するばかりなので以下は間違いなく漫画家の技量が光るぜという前提でご紹介いたします。

ジョーは作中、結局恋などをすることはありませんでしたが、彼を想う女性は2人いました。「林屋の紀子(のちに西の嫁)」そして少年院時代からのつきあいとなる犬猿の仲「白木葉子」がいました。

まず紀子はジョーに想いを確かめるべく面と向かうも → ジョーから暗にボクシングがやりたいだけ、それ以外のことは興味が無いんだと暗に返事をもらいます。ジョーは生涯のライバル力石を試合の事故とはいえ引導を渡してしまいました。
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しかしその後の葛藤からよみがえり、ジョーは自分がボクシングに魅入られているのだという結論に達します。

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紀子は想いを寄せるもジョーのストイックが過ぎる姿勢にすっぱりと諦めをつけ西を選ぶのです。
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紀子含みがあってコエエ!しかしこういう表現は梶原氏だけでは絶対できない。他作品も読んでるから断言できます。ここは漫画作家さんのドラマを描く才だと思いますね。

既に体調に異変があるジョー。打たれすぎたことからパンチドランカーの諸症状を表しています。
子飼だったボクサー力石をダメにされた恨みはある、だがやたらとジョーに絡んできた葉子は誰より早くジョーの異変に気づきホセとの試合を止めようとします。止められることをきらったジョー。葉子は最後にジョーを捕まえられる試合当日の控え室へ。そこでアレだよ!
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出口をふさいで行かせない!と泣く葉子。じつは告白直後にあるシーン
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最近まで…とか言わんとけ葉子さん、と平成だから思うが、この昭和シーンではかなりイケてるけど虫がすかん!だがビジネスではちょっと意見が合うときもあるワイ!という気の強い少女漫画的主人公が突如反転、ジョーに降る重要なシーン。ジョーもそれを決して無碍には扱わず自分たちの関係はこうだぜというという雰囲気を念押しするように葉子を諭して最後のリングに上がります。葉子はこのマッチメイクに関係していないのでビジネスマンとしての立場からも止められない。だからこそ感情があらわになるのです。

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勝敗は関係なく、ただ自身が燃え尽きるか否か。
最後の死闘を演じたジョーは途中、既に西の嫁となった紀子と話した晩を思い出す。

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いつだったかなあ…。ボクシングで真っ白に燃え尽きたいんだ、灰みたいにね、と紀子に話した晩を語るジョー。この漫画、なぜかジョー本人の想いはあまり語られずその行動でのみしか見えないのです。
死闘ののちおぼろげな表情で「葉子は…………いるかい?」

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ジョーにはおぼつかないままの愛はあったけど恋はなく。ただ早足に燃え尽きて逝ってしまうらしい男。そしてそれを受け止めなくてはならなかった女性。このコマ割り、この台詞のタイミング。
こういう、人が愛しいという表現が一律ではない、という部分はまさしくちばてつや御大の漫画の温かい魅力なのではないでしょうか。

ちなみに私は弟さんの「キャプテン」も大好きでした。
ああ、同じ家の人なのかなっていう画風が感じられてあちらも温度が有ったなぁ。
by jaguarmen_99 | 2015-05-02 20:18 | 世界遺産的マンガ&BOOKS
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