時折行くスーパーにはいつも
店頭販売で
ワカメ
を売っている”おねーさま(敬称)”がいるのです。
店頭販売だから、行き交う人々にやたらと声をかけるのも大事な商売、なんですがこの”おねーさま(敬称)”の宣伝文句に私はいつも強く
インスパイアされております。デパ地下に人知れずいま!天才的コピーライターが誕生したのです。
<その1>
界隈の婦人をつかまえて。
「ね、奥さん、ほら」
ワカメが無かったら大変よ、奥さん!
そう、もしもこの世から
ワカメが無くなってしまったら、やってくる明日はすべて彩りを失う。ああ・・・
ワカメの無い世界・・・。キミがいなくなるなんて、考えただけでも背筋が凍るようではないか!!!キミはこの荒廃した時代に生まれ落ちた天使、生まれながらのオアシスなんだ!
・・・と、まあ普段絶対に考えはしないであろう、
ワカメのありがたみに思いをはせ・・そんな必要あるんか、とか考えてはいけないはずだ、たぶん!あのみずみずしさが、あなたをどれほどまでに癒してくれているかってこと、
ワカメという名の幸福は決してあたりまえじゃないんだ!
<その2>
ちょっと、ちょっと。あなた。ねえ。
ほら、海藻好きでしょう?
いやあ、お恥ずかしい、じつは私ね、
海藻にはめっきり目がないもんで、いや、ははは、よろしいんですかな?
たとえば「
私って何はさておき海藻大好きなんだ!」という人物に会ったこともなければ、あまつさえ日常会話に出てきたことすらもない。それなのに、さもそれが当然のアイデンティティーであるかのように
海藻が好きという嗜好が大前提で会話が始まっています。たいていの人には海藻ってさほど身近ではないと思うんですが、さりげなくないギンギラギンっぷりが見事です。
どう思考を積み重ねたら、いったい何から考えたら、はたまたどんな回路があればこんな宣伝文句が思い浮かぶのか。私には彼女が持つ世界観すら想像がつかず、まさしく天才だとしか呼びようがないのですが、おしむらくはこの輝きが現在
ワカメ界
のみにおいてというニッチな市場。毎度見かけるたびに今日は何を言い出すのかと楽しみ似している私としては
ワカメよりも”おねーさま(敬称)”という彩りこそが続いて欲しい幸福だと思うのですが。
※今日の”おねーさま(敬称)”は全く動かない団体観光客に囲まれ山ほど試食だけをされて、少々おとなしめでした