なぜか講談社が抱える2本の空マンガ。『前略 雲の上より』に対するもう一本がこちら
『空男ーソラダン』糸川一成です。
第1話を無料でごらんになれますね。ご家庭の事情でグレかけ少年がある人との出会いによりスチュワード(CAーキャビンアテンダント)への道を行く立身出世物語。主人公含め従事する人々、乗客の人間模様を描くロマンを目指しておられると思うのですが、ン〜、結論から言います。
これ画風(力)も含め少年マガジン掲載のほうが良く無いかな?毎回機内でトラブルが起きて戦隊並みに『任せろ!俺たちに!(倒置法)』となってめでたしの繰り返しです。解決がたいてい曖昧な精神論にランディングするため人間の心理描写がかなり薄い。片翼飛行でコパイ(副操縦士)が途中でギブアップ、臨月直前の妊婦が腹痛押して乗ったら破水とか、お医者様はいらっしゃいませんかと言ったら護送中の容疑者だった、とか、空の旅が恐ろしくなるほどのトラブル満載。
いきおい反作用でがっかりしたエピが『親族のご遺骨を機内に持ち込んだ乗客のトラブル』
主人公のライバルが失敗したお話。ご遺骨をうっかりお荷物と言葉を間違えたために老婆の怒りを買いヒロイン炎上。この怒声で大声で遺骨だと機内に周知完了ですが、たとえ言わなくても
骨覆いに包まれてご遺影つきで折りたたみテーブルにセット完了済み。機内に持ち込めるのは知っていたけれど、こういうのってこんなにあけすけでいいの??
ヒロイン自身の失敗に凹むも先輩が、ご遺骨は持ち込み可能、それなら抱えときゃOK、じゃあしゅっぱーつ!見た目としては疑問なままだが、ルール上はOK → それを見とがめた子供が婆さんは良いのになぜ自分の大事なぬいぐるみは上の棚なの!?、と泣いてゴネたため問題がハデなしこりに。
私もう、この真ん中のオッサン気分ですよ!大抵の人間は機内での遺骨の扱いを知るはずもないので、興味引かれるテーマではないでしょうか?
私は気になります!また私とてご遺族の心情は強く察することができますが、セレモニーホールが町中にできるだけで住民が反対する平成ラストイヤーの現在です。機内は皆へ以前としているように描かれていますが、遺骨をあからさまな状態で持ち込む事は現代の倫理上どうなのでしょう?ものすごく極端な例を想像すれば、ご遺骨を持った方の隣りに、なけなしの金で新婚旅行を組んだ安定期の妊婦を伴った夫婦が座るかも知れません。人気路線で空席が無ければズレて頂くという配慮もできない。実際妊婦さんを告別式などに行かせないという感覚も実在するので、それぞれを公平に扱うには、航空会社にはどのような解決策があるのでしょう?
すると!エピソードは意外な結末に。ヒロインはご家族のぶんも、とコーヒーを出して接客失敗の汚名返上。大事な家族を失った老婆と子供は意気投合、きっとお空にいるんだよ、と納得。やったぜ、サービスは滞りなかったぜ!「お客様は一人ひとり、違う目的と違う想いで乗られているって気づけた」(la fin)
うおおおい!他の人(特に真ん中のオッサン)の想いはぁああ!?何かやりとげた事になってるし、有る意味やりとげた!けどそれは CA さんがやりとげたっつーか、何となく1:1で誤摩化せた、俺たちの戦いはこれからだ!そう、これは航空会社勤務員たちのマンガなんだ!豆知識期待する青年マンガじゃなかった!
初めて深そうなエピだぞ、と思って過度に期待してしまいまして、明らかに非日常な状態からエピが始まったのに持ち込める or not という浅いサービスへのフォーカスが何ともむずがゆい…。それならばこのご遺骨を何という代名詞でお呼びするのか、程度は掘り下げて欲しかったし、できれば新米CAの感情にすり替えず、私の疑問のようなシチュエーションを洗って欲しかった…。謎は埋まらなかったんんで個人的に調べてみたんですが航空会社によって遺骨は布や風呂敷で包んで、と指示があり、保安検査場で申告するのが通例のようです。あっ!
やっぱ気遣いは必要だよね…!。上の棚でモロご遺骨と自分のスーツケースが隣り合わせとか、荷物じゃないと思えばこそ誰だって楽しい気分にはならないと思うもの。ただ現実的には保安検査場から余裕あれば一定の配慮を、と連絡来てると想像しますし(私は隣席の人が初見らしいCAに個人名で声をかけられるのを見たことがあります。女将の挨拶みたいなことしてた。)あんまりあからさまかつ満席だったら預かるとか言われるんじゃないかとみています。水面下で色々配慮してくれてるんだろうと思ってるんですけど、このマンガの通りだと結構行き当たりばったりってことになるなぁ。