週刊少年ジャンプを拝見しておりましたら「トリコ」(
島袋光年/絶賛前科一犯作)にて、なじまない日本語表現が。
主人公「
トリコ」は食材を自身で調達するハンターであり、物語上、仲卸的位置にある「
トム」を訪ねて調子はどうだ?と訊くシーン。トムは「お前が
入荷してくれないからいまひとつ」といった具合の挨拶を返すのですが。この
「入荷」っておかしくありませんか?
物語上、ハナシの意図はわかるつもりなんです。
トムはお前(トリコ)がさぼって近ごろいいモン入れてくれないから商売あがったりだよ!とハッパをかけているのだと思う。
しかし同じ様なシチュエーションで第三者が食材を入荷していったぜ、という描写もあるので作者にとっては「材料を卸すことーつまり出荷=入荷」という解釈があるようで、なじまないと考える私との隔たりは明か。色々調べてみたのですがはっきりしません。
エキサイトの辞書では
店や市場などに荷がはいること。また、入れること。⇔出荷
「初物(はつもの)が―する」
↑これも妙じゃないですか?初物「が」なら出荷「される」ではないのか。初物「を」出荷するのでは?
三省堂Web Dictionaryでは
にゅうか [入荷]〈スル〉 商品が市場や商店に入ること. (対)出荷
たとえば
トリコが大卸(例:築地市場では仲卸に卸す”大卸”が数4社ある)を営んでAという商品を入荷、これを取引先の
トムに卸すのであれば「(あればいくらでも売れるのに)お前が
入荷してくれないから」という言い回しも成り立つと思うのですが、前述したように
トリコはハンターです。築地でいえば漁師さん。第一次産業の人物です。私の感覚では
入荷とは第二次産業より先の店(たな)を構えて流通で利益をあげる人々が自分を主語に使うものという解釈があったので、かなり違和感があるのです。違和感があるので、難しく言っておきゃいいか的に収まっているのではないだろうか?という疑問と、もう一つ、マンガ編集者が違和感を感じなかったの?という疑問と。私が編集者なら、間違いなく作家に問いただしていると思う。
間違ってはいるかもしれないが市民権を得ている言葉もありますし、言葉や文化のゆらぎにはある程度正しい寛容にあたるべきだと私も考えるのですが、反面そうした判別には根拠を明確にすべきと考えているのです。
荷を入れてくれない、とか他の言い回しじゃダメだったのかな〜・・・。