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ロシア式処世術と「謎ときカラマーゾフの兄弟」。
近頃ドスト祭り。あと一つ【未成年】を読んだら終わろう。

さて。これはドスト式なのか否かは不明でごぜえますが(無責任)4作から読み取るロシア式処世術をご紹介しましてよ?肝に銘じなさい。

1.もしもあなたが紳士なら、ご婦人が「だいじなごようがございます」と手紙をよこしたらどんなくっだらない長話だったとしてもあなたは行かなくてはなりません。

2.もしもあなたが紳士なら、上記のヨタ話を延々聞かされたあとドラクエ形式に他のおつかいを頼まれることが少なくありませんから、注意してください。ウソでいいので笑って請け負いましょう。

3.あなたが紳士でも淑女でも、貴族であれば相手の好き・嫌い、いかんに関わらず長いおべんちゃらを述べなくてはなりません。これは社交界の必須スキルですから
「一羽の鷹が舞い降りたように」
「あなたほどの高潔な心」
「かぎりをつくし愛するということにおいて」
などトコトン回りくどい表現をスマートに身につけましょう。ベルばらとはちょっと違うセンスを必要とします。また、嫌いな相手もこうして一度持ち上げてからこきおろすのが作法です。罵ったあとは野となれ山となれ、好き放題言いましょう。

4.もしもあなたが農奴あがりならば、上記のマナーは不要ですが語尾に「〜ごぜえますだ」をつけてキャラを印象づけましょう。間違っても筋道の通った理論など並べてはいけません。どこで売ってるのかは知りませんが、鞭で打ってやる!と怒鳴られてしまいます。

これはあくまでフザけた私の私見。
こちらからは真面目なエライ先生の所見。

謎とき『カラマーゾフの兄弟』:江川卓(たく)


を読みました。著者は一連のドストエフスキー作品を翻訳した経験を持つ人物でもあり、私見で言うと文章がカタイのが特徴です。
何が「謎とき」なんだろう?と手を出してしまいましたがさすがは翻訳者。ロシア語のニュアンスから探るドスト論、というやつで「謎とき」と呼ぶよりは「字とき」が殆ど。イメージとしては場末のすなっくドストエフ好きーにいつも来ては侃々諤々(かんかんがくがく)やってる面々が酔った勢いで新顔をつかまえては聞かせる雑学を羅列したみたい。素人には結構ビミョ〜。

しかしスメルジャコフ(←いちおう隠したけれど100年以上も前の小説のネタバレは気遣いすべきなのか?)はなぜ犯行に及んだのか?という「謎とき」は大変興味深いです。物語上ではこの犯人、犯行のキッカケってもしかして俺じゃね?といぶかっていた次兄イワンに「だってアンタが言ったからやったじゃん。アンタのいい分なら俺悪く無いじゃん。」とイワンにぶつけて自殺。これがイワンを発狂させる元凶となり、あるいは長兄を救えたはずが叶わなくなってしまうのです。

さて、江川卓氏によると犯人は当時あったある宗教的な観念からそれを正義として行った、という見識なのですがそれが

去勢派


と呼ばれる一派に属していたと複数要素から考えられ、つまりイッポリート検事がいう「良心の呵責」ではなく使命感をおびた確信犯的なものという考察もできる、という。
去勢派ですよ、ええ。スパムコメント増えそうな記事ですね、ええ。でも知りたいでしょう?まんま、ですよ。ええ。

<参考>
去勢派「見よ、蛇の頭は砕かれたり」

江川氏によると白がシンボルカラーだそうですよ?壮絶です。

ところでドスト祭りで作品を読んでいたら皆キリスト教の話がからむし(正しくはロシア正教をもって「権力と癒着した」とローマを批判させたりしている)問題あったらアメリカへバックレ、とか普段はヨーロッパにいる、とか、私はてっきりロシア(旧ソビエト)はずっと前から社会主義国で冷戦状態のアメリカへは密航でもするのかと思ってたんですが【カラマーゾフの兄弟】は連載開始が1879年、ソヴィエトの建国は1922年、つまり小説が書かれた時点では私がイメージしていたロシア=旧ソビエトではないんですねぇ。

色々読むために調べたりもしたせい、なにやら少しばかりはお利口にはなりました。ドストエフスキーのおかげと言っておくべきか。
by jaguarmen_99 | 2010-03-16 12:29 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(4)
Commented by bluegene at 2010-03-16 15:05 x
>どこで売ってるのかは知りませんが

えっと、たぶんエルメス?馬具屋さんだからムチも売ってると思います!

>ロシア(旧ソビエト)はずっと前から社会主義国

うはははは!
ロシアは帝国ですよ、ピョートル大帝とか女帝エカテリーナとかがいたですよー。
いわゆるソ連ぽい小説をお探しならソルジェニーツィンへゴー!

江川氏の本は『謎解き「罪と罰」』とか『謎解き「白痴」』とシリーズになってますです。とうぜんプロですから精読してらっしゃいますが、思い込みや誇張があるといわれてるので、ひとつの意見として参考くらいにしておくのがいいんじゃないかと。ドスト氏の研究本て内外で腐るほど出てるので、読みすぎると混乱します(笑)

ドスト氏、『未成年』を読むよりも中篇の『二重人格』あたりをオススメします。あるいは初期の代表作、『地下室の手記』。

ところでこないだ、とあるロックファンの寄り合いに行ってきたんですが、初対面の二人がドスト氏好きで思わず盛り上がってしまいました。その二人は姉妹なもので「ロオジャ」「アヴドゥーチャ」とか呼びあい始め、「じゃ私はラスミーヒン」と混じってる始末。アホですね。
Commented by jaguarmen_99 at 2010-03-16 19:45
■bluegeneさま
エルメスは元々は馬具屋さんでしたね。
> ロシアは帝国ですよ
学の無い輩なんてこんなもんでごぜえますよ、旦那さま。
> ソルジェニーツィンへゴー!
いや!未成年で打ち止めにする!ソ連マニアになりそうで怖い!
> 『謎解き「白痴」』
これも今手元に。読みます。
> 参考くらいにしておくのがいいんじゃないかと
はい、まるまる真に受けたりはしていません。なので【すなっくドストエフ好きー】でクダを巻く、と感じたのです。
> 『二重人格』
読み進めたものが後期の長編5作シリーズだったので未成年にこだわっています。一番つまらないらしい下馬評。
> 「じゃ私はラスミーヒン」
そしたら私はルージンしか残ってないぢゃないですか。
> アホですね。
じつに。
Commented by PiuLento at 2010-03-16 21:57
じゃがさま、ソ連とロシアはイコールではないんでごぜえますだよ。ソ連は、ロシア以外に、カザフスタンとかウズベキスタンとか、いろんな共和国から成っていたのでごぜえますだ。ご存知とは思いますたが、念のため。
Commented by jaguarmen_99 at 2010-03-17 19:30
■PiuLentoさま
> ないんでごぜえますだよ
この農奴あがりめが!鞭で打ってやる!
> いろんな共和国から成っていたのでごぜえますだ
これは崩壊後にいろいろ有った覚えがあるから、オラ、覚えてるだよ!ソヴィエト連邦「共和国」って名前だったすなぁ?おら、ソ連のオリンピックでボイコットが有ったの知ってるずらよ?
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