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天妃ぬ前マンジューとムーチービーサ
過日10時間労働を奉仕差し上げたので、その帰りぎわこれを持って行け、と「まんじゅう」を2つ握らされました。手にやたらとずしっとクるなぁ。礼を言って、そそくさと帰宅。甘いモノが大好きな相方にそのまま渡すと

相方「あと8あるぜぇ。」

聞き慣れない「まんじゅう」の数え方だと思って正してみると→あっ!005.gif
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なーるへそ「まんじゅう」とは言うが普通の「まんじゅう」じゃないわけだね。小豆あんをのしたのか、平たいのものが5枚まとめてサンニン(月桃)の葉に包んであります。かじってみると、ええとですね、歯ごたえは大福のなかみが固くなったような。あんこと寒天と小麦粉みたいなのちょっと入れて固めたような。

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天妃ぬ前マンジュー


てんぴぬめぇまんじゅう、と読む。初めて食べるけれど聞き憶えのあるような、と思いだすに、これ古波蔵保好氏の「料理沖縄物語」の”那覇女の名物饅頭”の回で紹介されていたものですね。



さて、天妃ぬ前饅頭というのは、大麦を焦がして粉にしたもの、すわなち「麦こがし」で餡をつくった饅頭である。小麦粉による薄皮の中に餡を閉じこめてあるのだが、カタチは丸く、ひらぺったくーつまり二つに折ってたためるほどひらぺったい饅頭の薄皮を通して、暗褐色の餡が透けて見え(省略)ついつい食欲をそそられてしまうという那覇にしかない菓子だった。

「料理沖縄物語」”那覇女の名物饅頭”より抜粋





なるほどそれならば饅頭と呼ぶのも合点が行くのだけれど、私が食べたものは香ばしさゼロだし何より薄皮すらなく、饅頭の体をなしていない。どうやら古波蔵氏がたいそう執着したような正統的なモノじゃないような気がする。

天妃ぬ前マンジューとムーチービーサ_b0046213_11491018.jpgたぶん古波蔵氏が言っていたのは山城(やまぐしく)まんじゅうみたいなタイプなのだと考えられます。(写真が山城まんじゅう。ただし、麦焦がしの香りはしないので別物と思われ。こっちは確かに何度も食べたくなる。ここでちらりと紹介してます)




とはいえ、このたっぺーらー=(平べったい)、具合の悪いまま放置された私の貴重な食料となったのであまり悪くは言えないな(笑)。きっとホンモノに出逢える日もあろう、としておきましょう043.gif

さて、天妃ぬ前マンジューといい山城まんじゅうといい、サンニン(月桃)の香りはやはりふくいくたる思いがする。沖縄人の暮らしにはなじみ深いものなのだ。この葉、生姜とウイキョウを足して割ったような香りがする、と言ったら伝わるかしらん。この香り、スウィーツとしてのまんじゅうよりも、私はやはりムーチーのほうがなじみ深い。

毎年旧暦12/8になると「ムーチービーサ」といって、サンニン(月桃)の葉に包んだモチをふかして通年の健康を祈願する(一般的な製法の餅ではない)。「ムーチー」(餅)+「ビーサ」(寒い)で新暦ではちょうど1月中旬前後になるので、確かに寒さが厳しくなったころあいにこの「ムーチー」(餅)は出回る。ちょっとばかりちゃんとした家だと、親族の女性たちが集まって「ムーチー」(餅)をわんさか作ることになる。とはいえそんなに日持ちもしないので、当然ながら辛党の私にですら年に1度必ずお相伴に預かるほどその季節はやたらと出回ってくれるのである!この時期はサンニン(月桃)の葉を取りに各所さまざまな場所でカマをもった不審人物が見受けられるのが風物詩。ほぼ無許可であちこちから取って来るのだが、何になるかは分かっているので視界に入らない限りは皆わりと寛容だ。味はというと普通の白くて甘いもの、紅芋、ごまやナントウなど、さまざまな工夫が凝らされる。
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この「ムーチー」(餅)がですね、結構葉にべたべたくっつくタイプでして、手でとってもやっぱりべとべと。が、固いやつは今ひとつ食味がわるくて、やはりむちゃむちゃ、べとべとしてある程度「ムーチー」(餅)だとも言える。私は相方から習った通り葉につけたまま前歯でこそいで食ってるんですが、他に巧い食い方をご存知の方、ぜひご教授いただきたい次第。
by jaguarmen_99 | 2011-02-28 21:23
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