カテゴリ:世界遺産的マンガ&BOOKS( 131 )
【ルパン全集】読みました。
マンガ「アバンチュリエ」の続きが気になって
偕成社版【ルパン全集】(別冊5冊を含む)読破。

30冊だよベイベー


足がもつれて転びそうになったので反対の足を前に出したらそのままフルマラソン走っちゃったぁ053.gifという勢いです。幼児書というわりには字が小さめで、大人でも1冊3時間ぐらいかかるだろうという読み応えムンムン。近所の図書館ではヤング・アダルトというなまめかしい053.gifタイトルの書棚に整頓されてこれまた期待度ムンムン。

ここでちょっと私的なことに話題を変えます。
私はマンガファンだけど活字なんて最近手にし始めた限り。だから活字の醍醐味の一つであろうミステリーというジャンルがよくわからない。シャーロックホームズや金田一氏がミステリーのヒーローだという程度は聞きかじっているけれど魅力に直接繋がるわけじゃないある時期からミステリーマンガが流行ったとき私は少しミステリーの魅力を感じうるのかと思ったけど、正直違和感を感じて思いが改まることが無かった。ミステリーマンガ=金×一とかコナ×君とか読んではいたけれど正直、面白いと感じたことが一度も無いんです。求められる謎解きの段取りというものが異世界に感じられた。

それこそが謎を解く楽しみなのさ、って言ったらそうなんでしょうけどその楽しみ方というかお作法が、そうにもさっぱり分からない。お約束で目にする死体のそばに糸やらダイイングメッセージやら。なるほど!この糸にこうして輪をかけて密室の出来上がりさ!とか、甘いものが苦手な人だけを狙って皆で分けるケーキ全体に解毒剤を入れたとか。そして解を得ても全然爽快感が無い。自分の推理が合ってたぜ!と思ってもそこまで楽しい気分ではない。これがミステリーファンの求める「推理」なの?と。

で、予防線として私は相変わらずミステリーファンではないのでドイルも横溝も読まないから定点ではないぞ、と断りを入れておきます。

そんな私ですがルパンシリーズというミステリーは面白い、と感じた。むしろこれを(今まで私が描いたイメージの)ミステリーに入れていいのか?と。読者を突き放す謎解きの×ナン君にもキムダイチ孫にも通ずるんですが、痛快、という表現がまさに。
ルパンは頭の回転の速い男ですが、反面美女に熱を上げやすいタイプで人生がコレで決まってます。そのために紳士たる態度も取らざるを得ないという時もあり、やたらにいびつで人間くさい。ルパンとかのシャーロックホームズ(仮想ホームズ。当時著作権の問題でホームズだとにおわせながらケムにまいた)が化かし合うという巻もあり、これも硬派 VS 軟派 の天才がぶつかるという楽しい設定。2人とも大失敗もするし、だが俺の才で見事アンタを出し抜いてやるぜ、という紳士協定もある。読んでもない私からするとホームズはえらいカタブツさん、という印象でしたのでこういう人間くさいホームズは愛せるような機がした。なんと言うかルパンは人間相手に知恵で出し抜こうとしてるんですが、単にそれだけであって下手な小細工というより人間心理をどう読むのか、という点に重きがあるように思います。

さて、全部読んだのでやっと私のフェイバリットエピソードをご紹介できます。
私が選んだ第1位は…でろでろでろでろ(ドラムロール)ちーん!(トライアングル)

三十棺桶島です!


理由はネタバレなのでたたんでおきます。
怪盗紳士って何だよ?みたいなネーミングですが(夫婦仮面みたいな違和感)むべなるかな、ルパンが泥棒として策略をめぐらせ怪盗ぶりを発揮する武勇伝は割と前半に偏ります。その後は思い出話やら謎解きにちょっかい出すやらで紳士としての趣に傾倒。813を含め手強いライバルが登場するエピは特にものすごく面白い!え狙った女をストーキング&口説くまでの紳士っぷりといったら壮快でダンディーこのうえありません。じつに紳士!女性にはてきめんに弱い、しかし、ここぞという時に蛮勇をふるいます。作品としては戦時の背景も強く反映していることも含め、単純に楽しめるという視点で上記に続け【虎の牙】それから、徹底喜劇の【バーネット探偵社】を上げたいなぁ〜016.gif

別冊からは逆ルパンの【バルタザールのとっぴな生活】。平凡平坦を哲学的にまで望むバルタザールの身の上には驚きの災難に次々と巻き込まれてしまいます。温度差としては同じですが冷→熱へ否応無しという点がルパンとちがって絶対にコメディにしかならないのがひどく可笑しい。

最後に特筆したいのはこの偕成社の全巻を通してタナカマキコ(田中槇子)女史の挿絵が特にルパンの中から後半で素晴らしく、ここで一息!という場所にまさしく!という臨場感あふれる絵を描いておられる。別冊では若干絵柄も変わり少しちぐはぐな印象なんですが編集の問題なのでしょう。
どうしてもありがちなお名前ゆえ確実そうな手がかりを探しきれませんでした。年齢からいえば現在還暦ぐらいかと考えられるのですが。

三十棺桶島を選ぶ理由
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by jaguarmen_99 | 2012-05-19 20:39 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(6)
【暗いブティック通り】を読みました。
【暗いブティック通り】/パトリック・モディアノ著を読みました。著者の名を冠した「モディアノ中毒」という言葉があるそうでこの人の特殊な”まとめ方”に惚れ込んでしまうのだそうな。いえ、私は初めて読んだんですけれども。

なんともいえない読後感です



ただ、後からあれって何?どういうこと?と自問自答を繰り返し、背景をかんがみ、すると巡り巡ってあれまぁ本の主人公と同じ苦い倦怠感に落ち着いた、というか。作中では主人公の気持ちはほぼ語っていませんが、ただ、形容できない重さがあるのです。これ「冬のソナタ」にたいそう影響を与えたとかなんとか。

現在私め「ルパン」の原作のほうとか(子供向けと思いきや猛烈に読み応えがある・・)フランスの作家さんの本を好んで読んでるとこなんですが、舞台設定が似た辺りが多いせいか歴史背景に思いを馳せなくてはならず、私は別にマニアじゃないのでここんち(フランス)が意外に戦争が多い土地だなんて知らないから面倒がかかります。そうだ、ドストエフスキーを読んでる時はあまり背景を知らなくても読めたのに、どうもフランス作家さんの読んでると「こんな感情になるのは仕方のないことだよね?」という前提があってスタンスが違う。空気読めよ、みたいな。これは地域性なのか、それとも小説に全く慣れていない私はやっと小説を読めるようになってきたということか。

この【暗いブティック通り】は読後はわかんね!と放り出したんですが後から気になって調べてみると、正解ははっきりしないけれどこういう事なんじゃないか?という気分になり、それがとても気になり始めたらこれが「モディアノ中毒」なのか?
色々知りたくなり、図書館に著者の別書籍を予約してみました。

【暗いブティック通り】ネタバレ。
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by jaguarmen_99 | 2012-02-16 19:10 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(3)
【イヴ・サンローランへの手紙】を読みました。
【イヴ・サンローランへの手紙】 を読みました。とてもせつない。ひどくせつないのです。死を思えば、やはりそう考えずにいられない。

訳者の意図もあり恐らく原文を損なわないようにしているのでしょう。かなりコッテリした文面で、もうちょっと「気持ち」を意訳してくれても!という贅沢を言いたくなりますが、逆にそれが良いのかも。恋人に残されたとある人物を、冬の日だまりのなかただ見つめるような寂寥感があります。皮肉めいたところも数多いのですが、文体のせいかあまり悪く言ってるように見えなかったりする。お下品な私だったらたぶん「僕らってシャネルが嫌いなオカマの勘定に入ってたのかな?」と考える前に言っちゃうとこだと思いますが012.gif

著者:ピエール・ベルジェは故イブ・サンローランの恋人であり、ビジネスパートナーでもあった。この本は恋人に先立たれたピエールがイブの死後、彼に綴った日記であり手紙なのです。

まず私は驚きました。

YSL ってそっちなの??へぇ〜005.gif



ファッション専修学校中退かつ性癖としては当事者であるにも関わらず、私め出自が生粋じゃないせいか私の目ん玉ビー玉&節穴ぶりといったらナイ(※ 過去参考)。我ながら驚くぜ。そういえば学生時代カンサ×はゲイだろ、って思ってたら妻子アリと聞いてやはり同じように驚いたことを思い出しました。むしろ100%言い当てる私のノンケの友人は立派ですが、これはこれで目ん玉にうつるもモノ全部そうみえる色眼鏡じゃないかと思えますが。

誤謬を恐れずにいえば私が相方との関係を戸籍を整えるまでに至ったのは、2人ともに死を想うことが一般よりは身近だという共通項に起因していると思います。正味の話、身内だという認証がないと有事に駆けつける、見守るといったごく当たり前のことも社会的には不寛容だというのが現実だと思うんです(個々がどう思うかは置いておいて)。一般的な婚姻は人生の帰結って契約の先に緒にいるなら看取るというポジティヴの延長線上ですが、私たちのの契約は帰結のために婚姻すべえというネガティヴから下ろした線上にあるのかとも思います。頼れる親とかも無いので余計に自分たちで完結するために考えちゃうわけです。当然ヒトの子なのでそれなりに考えるとこはあるんですが。

ある日この感覚のまま普通に他の人に尋ねたらですね、殆どのひとが自分や家族が死ぬことって

つるっと考えてなかったりする


のでちょっと驚きました。この不可侵はタブーだから!という強い観念があるようで、死=禁忌をあらわす非礼であると感じる方が多いようです。

色々有るんだ、と初めて思いました。私にとっては死に触れないことは気遣い&優しさなのか?と疑問ですが、究極に支えあうという同じ価値観で生きている人にとっては信心なども含めそういう受け身の結果を選ぶこともあるのだろう、と。

ピエール・ベルジェはイブ・サンローランの引退後、彼を看取るまで暮らしを共にします。ドラッグやアルコールに溺れていたらしいイブ・サンローランは死の間際過食にこだわりストイックに維持した自らの肉体を太らせたらしい。かなりヒステリックでもあったようです。

紆余曲折あった2人も、何だか人生をまとめるのは君らしい、という純粋な「暗黙の了解」があり、そしてイブが召されたあとも暮らしの端々に純粋が君がいなくて「寂しい」と気付く彼の想いがただ、せつないばかりです。2人の距離は恋人が召されるタイムリミットを知り、初めて近づいて行くものがあったのではないかと。

ああ、いないんだ、と思った時、家族でも愛しい相手でもペットでも。命がそこにあった限り寂しいと思う。根拠のない世界ですら、約束はなくともまた会いたいと願う。たとえ誰であっても、2人の人間の隅々まで理解しあえたり許容しあうことは、とても大変な覚悟の必要なことだと思う。私たちはそれを想ってから、選んだということになっています(笑)。

受ける印象とは全く逆に、どうやら子供っぽいイブとピエール・ベルジェ。2人はかなり遅くなってから PACS 契約をしている様子(パクスは1999年施行、イブが引退したのが2002年。2008年没。)。これを正解だと思ってるよ、と聞き驚くピエール。なかなかに振り回されて来たのでしょうし、そうしたことにいちいち付き合ってもいられなかったでしょう。仕事のパートナーでもあるので距離の取り方というのは2人にしか分からないものがあると思います。

で、読み応えとしては各所のこの本へのレビュー。各人の恋愛観が丸見えで読んでて大変たのしい。

つまり私の感想もその一部ですから、割と純愛らしいと見える印象もあるでしょう。レビューをいろいろまさぐってみてください。自分で立っているひとと、他人に依存しているひとと、恋愛って実際はどちらも選びようがあると思うんですが、ああ、(私を含め)人間はひとっところからナカナカ動かないまま色々求めているらしいという微笑も浮かぶはず。
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by jaguarmen_99 | 2012-01-28 19:51 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(0)
【食の軍師】を読みました。
先日「ジュンク堂」に参りましたら【グルメコミックフェア】と題し、フツーに極道めしが平積みされてるのには驚きました。グルメマンガの華々しい金字塔なんて他にも色々あろうにわざわざこちら側を狙うのか。そしてこれもその中に並んだ一冊。
【食の軍師】 を読みました。
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・・・・えっ?えっっ??皆思うよね?こういうの。いっっちばん身近なとこで「外食の時、おしんこをどのタイミングで食べる?」っていう・・・・。「弁当に入っていた好物をどのタイミングで」とか。毎食にこんな計画って沸いて来ません?そう、人は毎食のメシにあたり軍師なのですよ。個人的にはこのマンガの巻末あたりにある力石君のひとこと

茶碗蒸しを喰うタイミングがわからない


にエールを送りたい。うん、そうなんだよね!アレ、飲み助さんにとってはタイミングを図りづらいんだよね。

私の家はまさしく昭和の貧乏でしたが堅実な父のおかげなのか割と定期的(数ヶ月に1度)に外食をさせてくれた。隣駅(となりえき)のデパートの今でいえばグルメ街と呼ばれるフロアの「てんぷら屋」で揃って定食を食べた。母の天ぷらは厚ぼったい。華開くような衣の天ぷらと天つゆというお上品なスタイル。幼心に至上の幸福だと思いました。下戸の母はいつも茶碗蒸しをデザート代わりにしていて「好きだから最後に食べたい」と残していた。過去形なのに理由があって、その同じ母は今も健在だが別に茶碗蒸しは好きじゃないよ、とハッキリ言い切ったシチュエーションが過日あったわけでして。これは彼女の再婚のせいでしょうか?人に気遣えと徹底的にしつけたのはこの人だった気がするんですが。

さて、私は成長する過程において、何となーく母に倣い茶碗蒸しをずっとデザート的位置に置いていました。が、オトナになってよりのある日→呑んでる最中に喰うもんじゃないよな、と思ったら呪縛が解けて我に返る。茶碗蒸しは淡い味わいの料理。けれど最初から並べて出されると手始めに!と言えないハッキリしないボリュームがありません?同じ根拠で蕎麦屋に行って待ってる間に出されるそば茶っていらねーよ、って思いません?(一口目のそばの淡い香りへの感動が消し飛んでしまう)

あげつらうとキリがないんだけど、私は卵が大好きなので→茶碗蒸しも美味しくいただけるタイミングに関して熟考した。そして・・・

だめ。わかんね。


こうして食卓とは存外にして自我や背景を丸裸にするものであり常に人生を表現する場でもあるのですよ(大げさ)!かのブリア・サバランもそう言ったとか言わないとか。ちなみに私、トンカツは右端から順に行く保守派。衣が勝つ端を熱々のうちに喰いたい。順番に肉の気分を盛り上げ、最後から2番目にソースしみしみ左端、左端から2番目を一番最後に。

慣れた方なら久住昌之はいつもこの調子だものとおっしゃるかも。しかし私は出身小学校が同じというひいき目とか(つまり無意味なんだが)横山光輝の「三国志」における軍師:諸葛亮孔明の際立ったキャラ立ちに深い印象を得ていればツッコミの共感は間違いなくある。
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作中、食の策士:孔明もとい本郷くんはなぜかしょっちゅう会うリキイシ君を一方的にライバル視しています。一見、本郷君はかなりのお洒落上級者で(アパートは家賃安そうだけど)出張も多そうだし、で彼はバイヤーなんじゃないの?リキイシ君はフリーライターとかじゃないの?というネット上の勘ぐりも合点が行っちゃう。学生だったら歩み寄らないだろう2人が、食を介して何となく仲がいい。2人ともマズギョーザに騙されてみたり。だいたいマンガにあるようにヤツは俺のライバルだぁ!なんての、そうそう無いでしょ?そこまで真っ向から対峙できるんだったら愛も沸くわな。なのでこの2人、オトナの可愛らしい付き合い方だなぁとほほえましく笑ってしまいます。「蕎麦屋で満腹コースかい?」こういうライバル、清々しくていいよなぁww023.gifハタからみると余計なお世話なんだけど。
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by jaguarmen_99 | 2012-01-22 17:05 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(2)
【人喰い鬼のお愉しみ】を読みました。

「私もあなたが欲しいわ。航空母艦としてね、バンジャマン。わたしの航空母艦になってくれる?ときどきあなたのところに休みに来て、感覚を満タンにしてもらうの。」

・・・・こおくうぼかん!!!


かような強烈なくどき文句に惹かれて【人喰い鬼のお愉しみ:ダニエル・ペナック著】を読んでみますた。

<参考>
・いや、こういうくどき文句初めてじゃないな

結論;
おもちろかったです。が、読書家さんには奨めない。


たぶんミステリー好きとかにはミステリーが浅くてつまらんと思います。が、私のような初心者さんには人物描写がおかしくて素直に笑えます。これ癖のある作家さんのマンガ化とか、アメリカあたりでドラマ化とかしないかなぁ。笑えるミステリーです。

****************************************

主人公バンジャマン・マロワーヌ(愛称:バン)はデパートで苦情担当として働く青年。たくさんの幼子を養っているが、これは彼の子ではなく男を作っては蒸発を繰り返す母の子供、つまりバンの妹弟たち。

ヒートしたお客様が同情を寄せるまで自分の上司と苦情によって窮地に陥る人身御供を演じるのがお仕事。じっさい彼の仕事ぶりは素晴らしく、上司にいじめられる(演技)バンジャマンを庇い、お客様は満足してお帰りになられる。そんな彼の勤めるデパートで犠牲者をともなう連続爆破事件が発生。なぜか毎度現場に居合わせたバンジャマンは1番人気の容疑者に。もちろん彼は犯人ではない。誰が犯人なのか?!そんな時彼の愛する妹弟たちが・・・。(※以下ネタバレ含むので下記にたたみます)

****************************************

一見カワイソウなバンですが、それはそれでまあ結構うまいことやってまして、ガキどもの面倒よろしく怒りはあまり外に表さない。端から見れば「優しい男」バン。彼は特に理知的でもないし、情熱的でもなく空想癖があり・・・かといって軟弱というわけでもなくいざとなれば喧嘩もするぜ!が、彼を囲む人々は妹弟含め強烈な個性かつ自己主張が激しい面々で、間違いなくこの優しい男の人生を喰い気味です。たまのプレゼントとか気遣いで=ジャイアンがたまに優しいと全ての暴力の歴史がリセットされる法則=見事にケムにまかれるちょいとじっさい気のいい男です。常に受け身というたぶん海外では珍しい男という設定になるんだろう、と推測(じっさいは知らんが)。

基本全体が浅いので、本を読み込んでる方には食べ足りない印象でしょう。が、バンの空想癖は明け方の夢のようにどこか突飛な文章を散らしてくれていて慣れてしまうとこれも楽しい。

小説を読むとたまに作家さんの1行ぐらいに引っかかることがあって、私の感じていた違和感はソレなんだ!ソレを言い表してくれたか!と思う(=思い込める)ことがあります。上記の口説き文句は「仲良くなった」オネエチャンのピロートーク。が、私が感じ得たのはソッチじゃなくて



リソン「どぶ鼠どもが店を荒らしに来ないように、ヴィシー政権の義勇軍が立派に守ってくれましたよ。」
(略)
ちくしょう、脳髄の格好をした糞の包みを頭に乗っけていながら、どうしてあの人間の屑はガッダやプロッホやポトツキを愛し、アレイスター・クロウリーについてぼくと意見の一致を見ることができるのだろう?いつになったらぼくは、なにかをまともに理解できるようになるのだろう?



バンにとっては少なくとも好意的に接してこられたはずの本屋の老人が、ある日平然と見せた悪意に主人公は激昂するシーン(理由=ナチのユダヤ人迫害に肩入れする言いぶりだったから)。面と向かっては言わないけれど、怒りに震えて彼はその場を去る。

それだよ!021.gif
この言い回し、独特ですが非常に好みです。私が感じ得た違和感を直球で表現している。

『最悪だ!ダメだダメだ!嫌いとまではいかなかったが、もうダメだ!何でこの差が始めから分からなかったんだ!ああ、思い返せば小さな違和感、全部辻褄があうじゃないか!絶対相容れないのに何で共通項まであったんだよ?!ハタから見たらまるで同胞でひとくくりじゃないか!』

なんて思う事たまにありません?002.gif 人間嫌いの私は割とよくあるんですけれども015.gif。その時に私はいつも考える。いつになったら私はこういう理を全て理解して、淡々とここは笑っておけばいい、とクールにやりきれるのか、と。なぜいちいち腹を立てているんだ!と。どうして切捨てられないんだ!と。

文体も私にとっては読みやすく、またどこか似た感受をおぼえるところもありせっかくなんで図書館にバンの活躍を記した続編らしいという別書籍も予約してみますた。

そんな時彼の愛する妹弟たちが?
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by jaguarmen_99 | 2012-01-12 21:35 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(0)
【アバンチュリエ】を読みました。
【アバンチュリエ】を読みました。
画には確かにもの凄くクセがあり、マンガはそれだけで読み手を蹴落とすことが少なくないのですが、抑揚の見せ方にテクニックがありイマドキのやたら凝った設定や細かいコマ割り+パンチラという消耗品のマンガにげっそりしているマンガ好きには→こいつは骨太で

面白いぜ!!006.gif


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現在2巻まで出ていますが、私と同じく原作を読んでいないという方は巻末ごとに「えー?!!」(=ここで終わっちゃうのー?!!)とタメイキついちゃう。サブタイトルは『新訳:アルセーヌ・ルパン』。アバンチュリエ、とは山師といった意味合いらしい。原作はモーリス・ルブランによる「アルセーヌ・ルパン」。おかげさんで、私さっそく図書館で借りて来て原作の1巻読んでるぐらいですぜ。図書館に予約して揃えておいて頂いたんですが、あれ?児童図書クサいなコレ 012.gif

<参考>
アルセーヌ・ルパン

神出鬼没の大泥棒。けれど悪いヤツやらブルジョワ階層しか「お客」にしない芸術肌。ネズミ小僧のようなアルセーヌ・ルパンは大衆の心理のスキマをあっという間に走り抜けていく。

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第1巻で対峙する「宿敵ガニマール警部」。
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こういうマンガを誉めると原作が面白いからだろう?と言う人があると思うんですが、私は賛同しかねる。だってあなたは自分の好きな本を他人が読んでみた!までに期待させたことが何度あります?

私ですか?無いない、ナイっす!049.gif。それだけで彼らは視覚表現による伝聞というスキルを持っているんだと感心しちゃうんです。



ところで。

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こんなこと最近あったよね、国内でも。手配犯が出頭したけどワカラン、っていう(苦笑)。
でもこれは近影見たら同情するなぁ。私にはたしかに別人に見えたから。
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by jaguarmen_99 | 2012-01-07 20:07 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(5)
【王への道】を読みました。
歯医者に行って読みものが欲しかったので、【王への道】を読みました。
絵本だと思ったら結構字が小さくてもりだくさん。表紙の男性は主人公でも何でも無いし、話も日本のそれからすると少々とっちらかった印象もあったりで、日本人の私としては兄のシーンとか不要な描写が多い気がするんですが、そこはそれ。「ムトゥ踊るマハラジャ」って3時間以上有ったことを思い出せば何のその愛の園。雰囲気で読み取れ、ということはしないのでありましょう。平坦に話が進んだ雰囲気なのですが、この本は最後まで読むと巻末に「考えてみよう」という道徳的喚起がなされておりまして、これが話の内容から受ける印象とは裏腹に

やたらと重い!!!!


王への道 エレファントロックの伝説

上記、「なか見検索」ができるはずです。Tell it your way ! と書かれたページがありますので、気が向かれた方はごらんください。色々複雑かつ重いことを連綿と訊かれていますが、実際戦争描写のページは4ページぐらい。あれが作者の命題だったのか046.gif。全然子供向けに見えないけど、向こうの子供達は理解するんだろうか?!これですね、たぶんカーストという感覚が実感として沸かないことも感情移入しづらい要因だとは思います。後で考えるに結局そうした精神の閉鎖性が冒頭の戦争を起こすんだよ、ということが作者の意図なのかちら?と。

(あらすじ)

王様W(ワで始まる、以外は一見では覚えられない名前)は戦争に行きました。
Wは王妃に伝えます。戦争に勝ったら白、負けたら黒の旗を振る。黒だったら逃げろ、と。Wは戦争に勝ったので、部下に王妃に見える所まで行って白い旗を振るように命じました。
しかし部下は勝利に舞い上がって旗をふらず道草をして酒を飲んだくれてしまいます。
不安げに待つ王妃を思い出した部下は、黒い旗を振ってイタズラをしかけてやろうと思いたちます。しかし黒い旗を認めた王妃は絶望し、逃げずに崖から飛び降りて命を断ってしまいました。関係者一同続け、続けー!ぽぽぽぽーん!イタズラを試みた部下は大変な事をしてしまったと後悔し、これまた自分も死にました。王様はそれを聞いてショックを受け、やっぱり命を絶ちました。

城の老婆は危険を感じたため、赤ん坊だった王子アップワを人づてに預けます。この子は結局ある村の村長の家に引き取られましたが、人づてを介するうちに男の子の身分は分からなくなり、彼は普通に田舎の子として育てられ義父の牛の面倒をみたり畑を耕したりして暮らしていました。

時が過ぎアップワは頼もしい青年に成長し、老いた義父はアップワに働き手としてとどまって欲しかったので、自分の娘と結婚をさせようと試みます。アップワは姉に気がありましたが(物語の進行には無関係なんですが、本には載ってます)、姉は「牛飼いなんかとは嫌」といって取りつくシマもありません。アップワは逆に彼に少し気のあった妹シリマルエタナと結婚するはこびになりました。

結婚を機に少しの畑を得たアップワ。農作業の道具を揃えるために村を回りますが、彼はヨソモノのため村人が相手にしてくれません。アップワ自身は知らなくとも、彼よりずっとカースト(身分)の低い人たちが彼に難癖をつけます。意地悪にもめげず鋤を自分でこしらえて、次は牛を調達しようと牧場へ日参します。しかし、いくら頼んでも頷いてもらえません。牧場の嫁はアップワの礼節に心動かされ夫をたしなめるのですが、夫はこいつが王だとて俺は牛を分けてはやらぬ!と言い放つ勢いです。何となくフラグが立ちましたが、とりあえずここでアップワは消沈し、神に祈りました。

すると翌朝牛が繋いでありました。(神なのか、沸いたのか、牧場の嫁かはまったく不明)
とにかくこれで畑を耕せます。

その頃アップワの兄は先代を継いで故国の王となっていました。しかしイスラム系の嫁をもらっただか何だかで大臣たちに嫌われていました。大臣たちはイベントを装って王の暗殺をくわだてます。バナナの木から落ちた王(兄)は死んで魔物になりそこらで動くものを全部食べました。
しかし民には人気のある王だったので、今でも偲ばれています。(この文章も不要な気がするけど本にはあるよ。)

王がバナナ事故で急逝したため、王を探す能力のある神秘の象が次の王を探し旅を始めました。この象は次の王を見つけると、前足をたたんでおじぎをします。城の一行は象とともに王探しの旅に出ました。

その頃アップワは畑作業の合間にシリマルエタナの作った昼ごはんを食べて、彼女の膝枕でウトウトしていました。すると自分の農具に蜂が巣を作るという「王になる人がみるという夢」を見ました。シリマルエタナはこれを聞いて「あなたが王なら私は王妃ね!」キャッキャッ053.gif

すると太鼓を鳴らす集団とでかい象がやってきて、アップワの前で前足をたたむとおじぎをしました。まったく状況がつかめないアップワに象の侍従が出て来て言います。「あなたはこれから王になってください。」

アップワとシリマルエタナは王と王妃となり、国を善くおさめましたとさ。
とっぴんぱらりのぷう。

考えてみた!
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by jaguarmen_99 | 2011-08-23 11:37 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(0)
【小説琉球処分】を読みました。
身動き取れないうえに最適なヒマつぶし(ネットが繋がらなかった)も無くなったので、いきおい本読んでました。

【小説琉球処分/大城立裕:著】を読みました。

大城立裕先生は芥川賞受賞作家であり、賞の重さ云々は別にして沖縄文学界の重鎮といって差し支えない方。各所でインタビューやコメントなどを見るにつけ非常な聡明さを印象づけられておりましたが、作品は初めて拝読しました。

<参考>

芥川賞と直木賞の違い

読後感としては印象が確信に至るというあたり。なぜかというと

結論


どちらかというと沖縄にいるヨソモノが読む方が面白いと思います。
沖縄モノというと島だとさっぴいても)この人は良くも悪くも視点が島の外=ヨソモノの見た鳥瞰図なんです。島にいるヨソモノの私としては逆説的だけど、よくここまで島人(しまんちゅ)がヒイキを押し殺して、と驚愕すらする。
じっさいヨソモノの私には士官の「松田」に強い憤りを感じつつ、彼のいら立ちと譲歩の気持ちに重なるところが確かにあるんです。そして作者が描くように観念上の基礎にやはり大きな差があるんだという事実を、島人が言い切ったというところが私にとってはひどく衝撃的でした。作者の慧眼と負い目が作中の「良朝」に重なるところがあります。

うちなーんちゅ(生粋の沖縄生まれ&育ち)の誇りは常に私が尊重したいと願うものであり、だからこそ作中の松田や伊知地に憤りも感じるんだけれど、グローバルに考えると人として政府側も琉球側もドッコイドッコイ。いずれも盲信と利に埋もれた人間達のドラマであり、聡明な者は取り残されて迎合に至るのです。歴史のうねりは割と浅い感覚が動かしているという悲哀。

タイトルの「琉球処分」という言葉は日本政府が琉球をもてあましつつ下にみる態度を一貫させたという重要なキーワードだと思うのですが、これが下巻で突如出て来てあまり触れない、とか、当時新聞連載だったらしいので出て来たキャラが途中でさらっと消えるとかこのあたりはご愛嬌なんですが。

ところで先日ジュンク堂書店に行ったら、何と大城先生のサイン会開催中!

ほ、欲すぃ!


そう思った、正直「目取間×」のサインは欲しくねぇ、でもこの御大のサインは欲しい!一生の記念にしたい!そう思いました。おりしも私はこの【小説琉球処分】を購入するか図書館で借りるか迷いあぐねていた時だったので、サイン貰えるならええい!買おう!と考えたのですが→書店の人に尋ねたら「違うお?先生の新刊買ってくんなきゃダメだお?」
・・・そうですか。しかし先生のお手前無礼だから言わなかったけど、申し上げたい。言うぞ!

誰も並んでねぇじゃんよ!


この島の至宝の前に、だよ!?ふざけるなぁ!ジュンク堂めぇ!!サクラでもいいから人を送れよ!少なくとも私はこの御大にこんな恥をかかせることが堪え難いという義憤を感じた。たとえサクラでも盛り上げたい!「他の本じゃダメ?」→「ブッブー!」
しかしまぁ、ルールだもんね。どうにも動かせない時代と民族性。まさしく先生が描かれた世界そのもの、に過ぎて。しかし私の言うことはヒイキ入ってるから素直に引き下がるし、新刊には全く興味沸かないという私の冷淡さは棚上げできんわな。でも、サイン欲しかったなぁ、こうやって作品読み終えると、ご祝儀として新刊買っても良かったかもと後悔。しかしこういう情と絡ませたがるは島ぐらしのせいなのかもしれない。普段は永遠のヨソモノとして扱われているはずなのにね。

さて、私の沖縄生活もなかなかの長さを迎える節目です。へぇ、どのぐらい住んでんの?とウチナーンチュに尋ねられ、そうですね、やっと20年ぐらい、と答えると間違いなく

絶句される


という時代です。絶句されたということは、後に島の暮らしをのべつまくなし押して満足しようという彼らの企みが頓挫したことを指す。

「まだ沖縄についてお話するには早過ぎますよね。」

と意地悪を言うと

「いっ、いえ、そんなことはありませんよ!」

私たち本土人から言えば違う言葉も選べようが、いまだ言葉つたないところがある彼らにとっては目一杯の誠意なんだと私は知っているから、それを聞きたくて意地悪するのですよ。そんな埋まらない溝とか温度差とか。そんな世界がこの小説にはあります。
沖縄に長く住むヨソモノにぜひ読んで欲しい、そんな小説です。久米村の立場もニュアンス的に分かりますし「外国に向かってはねがいこう(願い乞う)立場」と外交を言いまとめさせる手腕と視点は実に圧巻。
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by jaguarmen_99 | 2011-08-06 20:19 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(0)
ジャンプ34号の「こち亀」。豚平??
今週のジャンプ(34号)は映画「こち亀」(実写)の劇場公開直前ゴリ押し巻頭カラー!とのことでマンガ「こち亀」が巻頭に来ています。

これは珍しい、キャラクターの描き分け間違いという、うっかりミスと思われます。

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幼なじみの珍吉と豚平とともに、イリーガルなイタズラを目論む両さん(両さんは警官です)。


b0046213_21274257.jpg下調べに行った先、この3名がサングラスで変装。計画は上手く行きそうだと豚平とほくそ笑むのですが、良くみると豚平と両さんは鼻の形やら輪郭が似ているゴツゴツ系なのだ。



それが災いしたらしく、イタズラの下準備にかかった両さんから係員の目をそらすために必死でごまかす珍吉と豚平・・・
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豚平??


シャツの描き分けからも間違いなく下にいるのは豚平なんですが、大御所のミスを見ると何だか昭和な気がして嬉しくなってしまうのです。しかし結構誰でも気付く大きな間違いにも見えるんですが、担当編集者ってちゃんと読むんですよね???ね??



b0046213_2146058.png余談ですが、私の好きなマンガのミスで一番印象深いのは「美味しんぼ」の谷村部長(穏やかで人望に厚い主人公の上司である)の「田畑さん、いい時期に結婚するわねえ。」というフキダシミス。
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by jaguarmen_99 | 2011-08-04 21:48 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(2)
【羣青】の上・中を読みました。
【羣青】の上・中を読みました。中の巻末には下巻もよろしく、なんて書いてあるんですが、ここまで読んだら読むわぁあああ!007.gif読まざるを得ない。

・・・正直5月の下旬ぐらいに上巻を読み、これはヘヴィだぜぇ・・・と避けていたんですが

やっぱ読みたい


中巻買っちゃいまして。もう下巻まで行くしかない。堕ちて行く、というより墜ちていくよな感触。

上巻のほうがヘヴィです。内容が、ではなく心情描写が。

aki9maさんから「船を建てる」を紹介されて、これはとても素晴らしいと感じ、bluegeneさんもそれを推されていたのでああ、(よくある理想的な不特定多数)が納得なのね?!という気分だったんですが、昨今これを2人の他人に貸したらことごとく

感想(要約):「サッパリわかんね」

何ぃいいいいい?!煙草とコーヒーの哀愁がわからんとなっっっ?!これ感想?乾燥?!

私は何かが終わっていく(と自分が感じる)抗(あらが)えない運命、延長線上に死があるというこの残酷な哀しみに泣けた。でも、こちらがニッチなのかもしれない。

<参考>

船を建てる

で、このマンガはですね、描写としてはもう少し浅めのとこにはあるんですが、同性愛がおりなすトコトンのプラトニックが泣かせます。

各所でほぼネタバレしてるので言ってよかろ、というとこまで話すと主人公は女性2人。女子校で貧乏主人公1がいて、もう1人主人公2は金持ちレズビアン。主人公1は2の「昔の」好意を利用して殺人を示唆。主人公2には既に他パートナーとの暮らしもありましたが、殺人は実行され2人は犯罪者として追われる身になります。

特に上巻の心理描写はとりとめもないさまが圧巻。一般としては同性愛はプラトニック、と称するんだか賞する向きがあるけれど、逆に言えば一緒に暮らして行くとなるとですね、役割がはっきりしてない場合なんて特にごまかしのきかないタイトなトコあると思うんです。だけどそれこそ一般的には「わからないよ、だってホモ(レズ)じゃないし!」って言っちゃうと面白可笑しいスキャンダルな話題で済ませられちゃう。私は割とカミングアウトするほうですが経験上「理解するよ!」と教科書通りのこと言う人に限って言葉に多くの含みを持ってる印象です。本当に誠実な人って自身に実直な事しか言えないんだと感心する(笑)。

言いたかったのは、見えづらいけれど温度差はあるんだってことです。無い人もいるでしょう、でも隠しているような人は温度差を感じるでしょう。

さて、このマンガ。これを20代のコがもしノンケで描いてるんなら、ホントにこの人は今の世の中つまらんだろうなぁ、と思う。絶対に同性のほうがシンパシー感じるだろうな、と。(出版界の一方的っぽい事情による休載を含めても作者はまだ20代だそうだ)。ここまで淡々と描けるのなら、よほど人間が嫌いか、愛しいか。そしてその先が同性だったとして何がおかしいというんだろ、と一瞬でも考えたことがある人なんじゃないかなぁ、という印象です。あれっ?変ですか?私は中学生の頃からそんな事を考えてましたが。

マンガの話。殺人を教唆した本人はしんどさをたくさん抱えているが、残酷なそれらを正視してない。でもできるアタマもある。しかし当人が無視してるだけで、実は関わる人々は皆地に足がついて、しかしどういう意図であれ自責を伴おうとする強い人たちなので爽快です。

中巻で出て来る兄&兄嫁と妹の展開は「理解するよ?!」という独特の言い回しの裏を見事言い当てているようにも思う。愛で大きなことを内包することと、自分にとっては些末なことを大事のように内包するぜ!と言われる、その時に感じうるあの違和感。誰かが下にならんといかんのだろうか、というあの達観は普通描けるのかなぁと感心してしまう。

つ、辛いなぁ。直接描かれちゃうと、やっぱりウチには「きのう××べた?」みたいなとこもあるし、この本みたいなとこもある。人はマジョリティに属しながら、マイノリティという差異を見つけ満足するらしい。

正直いきなり同感のままマジョリティに持ち出されると、マイノリティーの当事者ですらあれ?覚悟がなかった!008.gifと感じたりする。犯罪者であるということは、どんな事であれマイノリティーをマジョリティーに引き上げる公平な瞬間なのだと私は考えたことがなかった。

佐々木倫子のような、静止画のような画風なので一見話は止まってるように見えるんですが、描いている心理描写はエグい。下巻、どう終わらせてくれるのか。彼女たちの選ぶ結末=幸福は何なのか。

せめて生きていてくれい、と願うのですが007.gif008.gif
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by jaguarmen_99 | 2011-07-30 18:38 | 世界遺産的マンガ&BOOKS | Comments(4)